この記事の目次
一泊二日で挑戦した「富士山登山ルート3776」のまとめ
この記事では、海抜0mから富士登山を目指す「富士登山ルート3776」のルートに挑戦したことについてまとめます。
今後「富士登山ルート3776」のルートに挑戦してみたい方や、体力に自信があって何かに挑戦してみたい方に参考になる記事です。
また、新型コロナウイルスの影響でなかなか外出が難しい状況ではありますが、富士登山の様子の写真だけでも楽しんでいただければ幸いです。
「富士山登山ルート3776」とは
「富士山登山ルート3776」の概要
「富士山登山ルート3776」とは静岡県富士市の富士山・観光課が紹介している海抜0mから富士山の山頂までの全長約42キロメートルの富士登山のルートです。(詳細は、公式ページをご確認ください。)
「富士山登山ルート3776」では、ルートの途中で合計で4箇所のスタンプラリーと山頂での写真がチャレンジの要件になっています。
スタート地点はふじのくに田子の浦みなと公園もしくは富士塚になり、ゴールは富士山頂(標高3776メートル)です。
また、公式ページでの推奨日程は3泊4日となっています。
*最新の「富士登山ルート3776」の情報に関しては公式ページのご確認をお願いいたします。
(公式ガイドより一部抜粋)
「富士山登山ルート3776」のルートマップ
「富士山登山ルート3776」のルートマップは下記の通りです。「富士山登山ルート3776」で紹介されているルートでは距離がフルマラソンとほぼ同じ42kmで、基本的には海抜0mから富士山頂(標高3776メートル)ひたすら登り続けます。
また、ゴールの富士山頂まで到着した後は、そこから自力で下山しなければなりません。
山頂からの下山ルートによりますが、吉田口5合目まで下山すると、実際の移動距離は約55kmになります。
「富士登山ルート3776」の挑戦のきっかけ
友人から「富士登山ルート3776」の話を持ちかけられ、完走したら静岡県富士市の富士山・観光課からもらえるバッチが欲しくなりました。
また、日本で一番標高の高い富士山に「海から富士山へ上ってみた」ということが今後の自分の自信になるに違いないと信じ、その友人と二人で挑戦を決意しました。
公式ページでの推奨日程は3泊4日となっていますが、今回は24時間以内で吉田口5合目まで下る予定で挑戦しました。
「富士登山ルート3776」の挑戦について
①スタート地点から最初の中継地点の「よもぎ湯」まで
JR吉原駅までば電車で向かい、スタート地点の「鈴川の富士塚」までは、徒歩で向かいました。
「富士登山ルート3776」のスタート地点は「鈴川の富士塚」となっていますが、富士塚のある場所は海ではないのでリアルに「Sea to Summit」にチャレンジするためにまずは海へ向かいました。
「鈴川の富士塚」の南側にある「砂山公園」の方へ進み、まずは個人的な「Sea to Summit」スタート地点での記念として海水にタッチして登山(?)を開始しました。
海と言っても下記画像のように海水浴というよりは、釣りに向いていそうな場所でした。
その後、「富士登山ルート3776」のスタート地点である「鈴川の富士塚」へ向かいました。
スタート地点はとてもわかり易く、「起点」というポストのような物があり、そこでスタンプラリーの用紙を入手しました。
スタート地点である「鈴川の富士塚」からは、ゴール地点である「富士山」が薄っすらと見えました。
「鈴川の富士塚」で記念撮影を行って、「富士登山ルート3776」のスタート地点を出発しました。
この日は、富士山が山開きを行ったばかりの7月で最高気温が35℃近いとても暑い日でした。
最初は平坦な道かつ住宅街や商店街を進むので登山といった感じではなく、基本的には歩いて進みました。
最高気温が35℃を超える日だったので熱中症に注意しながら途中にあるコンビニで水や食料を補給し、約12km地点で最初の中継点の(2つ目のスタンプラリーポイント)の「よもぎ湯」へは何事もなく到達することができました。
②「よもぎ湯」から「旧料金所跡」まで
「よもぎ湯」から「ふじひのきパーク」までは緩やかな上りとなっていて、そこから下記画像の青色の矢印部分は山の側面に沿って歩くためほぼ平坦な道のりになっていました。
平坦な道のりといっても、気温が高くとても暑かったことや疲労が少しずつ溜まってきて気持ち的にとても長い道のりに感じました。
途中の「表富士グリーンキャンプ場」が3つ目のスタンプラリーの中継点となります。
(公式ガイドより一部抜粋)
二つ目のスタンプラリーの中継地点である「表富士グリーンキャンプ場」まで進んでハプニングがありました。
なんと、一緒に「富士登山ルート3776」に挑戦していた友人が足の痛みを訴え始めて、失速してしまいました。
途中で休みながら進みましたが、悩んだ末に「表富士グリーンキャンプ場」から先は、一人で進むことにしました。
③「旧料金所跡」から「富士宮口5合目」まで
スタート地点から料金所ゲートまでは舗装されたアスファルトを歩くことになりますが、「旧料金所跡」からはいよいよ登山道が始まります。
「富士登山ルート3776」のルートは所々に「富士登山ルート3776」の印がありほぼ迷うことなく進むことができますが、この登山道はとてもわかりにくかったです。
「旧料金所跡」の手前の右側に「富士山自然休養林入口」の看板がありその脇から登山道に入ります。
「旧料金所跡」の場所は、下の地図の場所になります。
間違って料金所を進んでしまった場合は、くねくねした車道を進んで富士宮口五合目へ向かうことになりますが、次のスタンプラリーは富士宮口6合目なので、万が一間違っても特段問題は無いです。
この「旧料金所跡」の周辺は、下記の上空写真から分かる通り森林となっており、ここからは舗装されていない登山道を歩くことになります。
下記のGoogle マップ上の上空写真の画面をドラッグして地図の視点を上部にある富士山頂へ切り替えてみてください。
地図の視点を山頂に向けてみると下記の地図のようになります。
周辺は富士の樹海で、ここからしばらくは森林の登山道を進み富士山の山頂を目指します。
「富士山自然休養林入口」を暫く進むと2つ目のハプニングがありました。友人が負傷したために休憩していたことで予定よりも時間が経ってしまっていて、森林限界(高木が生育できず森林を形成できない限界線)を超える前に夜を迎えてしまったのです。
まだ富士山が開山して間もないことや、海抜0mから登山する人が少ないことからほぼ1年間誰も歩いていないような生い茂った雑木林の登山道を暗闇の中進まなくてはならない状況になりました。
GPSは直進を示しているのに、下記画像のように道は左右に別れているような場面、途中で道がなくなっていてよく見ると足元にロープがあって崖を下るような場面、休もうとすると「クマ注意」の看板が目の前出てきて、とても危険だと感じました。
途中にある登山道の分岐点の標識や案内図で道が間違っていないことを確認しつつ進みました。
看板は光が反射するので見つけやすいですが、標識は探さないと見えづらかったです。
また、暗くなって日が落ちた後からは日中の暑さからは考えられないほど寒くなり、吐く息が白くなるほどでした。
下記のような画像のように、分岐点に道案内の標識がありましたが、雪につもっても埋もれないためか少し目線より高い場所にあり、暗闇の中では見つけづらかったです。
「御殿庭中」、「宝永第二火口縁」と順調に進む中、一緒に挑戦していた友人から今回のチャレンジを諦める連絡を受け取りました。
友人は、途中の「表富士グリーンキャンプ場」で別れた後、「旧料金所跡」から登山道に入らず、車道を進み富士宮口五合目まで歩いたようです。
「富士宮五合目から翌朝のバスで帰宅するけど、自分の分まで頑張ってくれ」とエールを受けました。
そして、ここで今回の「富士登山ルート3776」のチャレンジの最大のトラブルが生じました。
ふと、次の4つ目のスタンプラリーの中継地点である富士6合目の「宝永山荘」の営業時間を確認すると20:00までとなっていて、電話で確認してみるとお店の営業時間しかスタンプラリーのスタンプを押してもらえないことがわかりました。
24時間いつでもスタンプラリーを押せると勘違いをしていて、「宝永山荘」の営業時間の20:00までに間に合わない状況でした。
そのため仕方なく、「宝永第二火口縁」から「富士宮口五合目」へ向かい、友人と合流しました。
その後、富士宮口5合目の駐車場で朝まで約6時間、特にやることもなくその場で待機することになりました。
動いているときにそれほど寒さは感じませんでしたが、富士宮口の五合目の夜はとても寒く、常に動いて体を温めなくてはならなかったため全く寝ることができませんでした。
もちろんもしもの時に備えてエマージェンシーブランケットは持参していましたが、止まってしまうと動けなくなりそうで歩き回っていました。
④「富士宮口五合目」から「富士山の山頂(剣ヶ峰)」まで
しばらくして夜が明け、そのまま負傷した友人と一緒にバスに乗って下山し、チャレンジを諦めようとしました。
しかし、まだまだ元気だったのと、もう一度チャレンジしたくなかったので、友人に別れを告げて富士登山を再開しました。
富士宮口6合目の「宝永山荘」では、開店後にスタンプラリーのスタンプを押してもらい、カップラーメンを食べてエネルギーを補給しました。
カップラーメンを食べ終えて外に出ると、既に日が昇り始めていました。
7合目辺りまで登って後ろを振り返ると、スタート地点の海まで見えるほど天気がよく空気が澄んでいました。少しわかりにくいですが、下記動画で遠くに見える小さい山の左側の裾に沿って薄っすらと見えるのがスタート地点の海になります。
このときに初めて日中に富士登山にトライしましたが、夜間の富士登山と比較すると、とても景色が綺麗でした。
下記の動画のように空の青さや雲の動きがとても美しく、何度も立ち止まって動画や写真を取りました。
この日は天気がよく日光が辛かったですが、景色がとても綺麗だったのですぐに元気を取り戻すことができ、無事に山頂へ到着することができました。
富士宮口は、他のルートと比べると距離が短くて足場が多いので個人的には登り易いと感じました。
山頂では、山小屋でコーラを買って水分補給としばし休憩をしました。
富士山の山頂とはいっても、今回はここがゴールではありません。ゴールは富士山の山頂の中でも一番標高が高い標高3,776mの「剣ヶ峰」になります。
富士山の「剣ヶ峰」は、富士山の山頂の中でも見上げるほど高い場所にある、下記画像のような場所になります。
そのため、富士山の山頂に到着した後も「剣ヶ峰」までは更に登らなくてはならなりません。
また、時折風が強いので注意が必要でした
ちなみに、富士山の山頂の真ん中は下記の画像のようにポッカリと空いていて、その周りの円を歩くこと(お鉢めぐり)ができるようになっています。
富士山の最高峰である「剣ヶ峰」は、富士山の火山口の円の周回ルートの一部にあります。
富士山のお鉢めぐりの距離は2.6kmで、一周に要する時間は約1時間30分かかります。
最後の力を振り絞り、富士山の富士山の最高峰である「剣ヶ峰」へ向かいました。
そして、「富士登山ルート3776」の最後の条件である「剣ヶ峰での撮影」を行って無事チャレンジに成功することができました!
⑤「富士山の山頂(剣ヶ峰)」から「吉田口5合目」まで
「富士登山ルート3776」のチャレンジを達成したとは言え、ここから自力で下山しなければならなりません。
帰りは富士山の山頂から吉田口の5合目までおよそ14km、一気に駆け抜けて無事に吉田口5合目までたどり着くことができました。
手元の計測では下記の画像の通り、トータルで約28時間(5合目での待機時間を除く)、約59kmのチャレンジとなりました。
「富士山登山ルート3776」の表彰状と達成バッチについて
後日、「富士山登山ルート3776」のスタンプラリーのシートと富士山の山頂で撮影した写真を富士市の市役所に送ったところ、しばらくして無事に表彰状と欲しかった達成バッチを受け取ることができました。
特に参加費用もなく、日帰りで複数回チャレンジしながらスタンプラリーを続けて達成してもOKのようですので、時間をかければそれほど難易度は高くない挑戦です。
学んだことと後悔や反省したこと
- 十分な訓練が必要
- 水場とトイレの確認は入念に
- 行動食をしっかり準備してエネルギー補給をする
- 夜に森に立ち入らない
- GPSの使い方を知っておく
- 所持品は十分に考慮する
- 疲れすぎてスタンプラリーと写真撮影を忘れない
- 家に帰るまでが登山だと覚悟する
①十分な訓練が必要
およそ38km地点が通常の富士登山の開始地点である富士宮五合目と同じような場所にあたるため、38km平地&山道を移動してから富士登山をすることになります。
少なくとも一日に平地で50kmの移動や5合目からの富士登山に慣れておくことは最低限必要です。
また、可能であれば事前に「山体観測装置」手前の急登付近を登ってみることをおすすめします。
②水場とトイレの確認は入念に
公式ガイドなどで食料や水分が補給できるところやトイレは入念に確認をしておきましょう。
スタート地点からしばらくはコンビニがたくさんあるので水分などは必要最低限で問題ないです。
公式ガイドのマップにあるように、最初の中継地点の「よもぎ湯」の手前にあるセブンイレブンが最後のコンビニになるので、水や食料十分に確保しておきましょう。
③行動食をしっかり準備してエネルギー補給をする
長時間活動するとかなりのエネルギーを消費します。また、登山に行動食は必須です。
おすすめの行動食は、安くて軽く、塩分も補給できて高カロリーな柿の種(柿ピー)です。
また、個人的にはMag-onのような補給食をスタート前に飲んでおくと足がつりにくく感じるのでおすすめです。
スナック系であればカロリーメイトもおすすめです。
口の中がバサバサしようなイメージがありますが、意外にそんなこともなく食べることができます。
あらかじめ練習の段階で持ち運びやすさや食べやすさや、食べた後の体の調子を十分に吟味しておきましょう。
④夜に森に立ち入らない
明るい時間帯に余裕を持って「富士山自然休養林入口」を進みましょう。今回のチャレンジで、個人的に夜の森は危険だと感じました。
森林限界を超えた場所での早朝からの登山に慣れていたので暗くてもヘッドライトさえあれば大丈夫と思っていましたが、登山道がわかりにくく危険でした。
もし、途中で暗くなってしまう場合は、富士宮口の6合目まで明るい時間に到着できるかどうかを慎重に判断しましょう。
山体観測装置の手前からは森林限界を越えてくるのでクマの心配はないです。また、富士宮口の6合目からは他の登山客も多く、暗くなったとしても道がわかりやすいです。
⑤GPSの使い方を知っておく
登山用のアプリは事前に使い方を確認しておきましょう。
GPSは宇宙からの電波信号で位置を特定するため、地図を事前にダウンロードしておけばスマホの電波が届かない場所でも現在位置を知ることができます。
⑥所持品は十分に考慮する
平地から富士山の山頂までは気温差が大きいので、熱中症と防寒の対策が必要です。体力に自信があったとしても、エマージェンシーシートは最低限持って行きましょう。
スマホの予備バッテリーは十分に持っていくことをおすすめします。スマホのGPSは電池の消耗が早いです。また、山頂での写真撮影が「富士登山ルート3776」のチャレンジの要件の一つでもあるのでスマホのバッテリーの残量には注意が必要です。
また、富士山の天候は変わりやすいです。いつ雨が降ってもいいように所持品はすべて防水の袋に入れておきましょう。
⑦疲れすぎてスタンプラリーと写真撮影を忘れない
「富士登山ルート3776」では、4箇所のスタンプラリーと富士山の山頂での写真が要件となっています。
また、剣ヶ峰は富士山の山頂から更に登ることになります。あらかじめ山頂がゴールではないことを頭に入れ、剣ヶ峰まで遠くて諦めてしまわないように覚悟しておきましょう。
私が初めて富士登山をしたときは、寒すぎて剣ヶ峰まで行くのを諦めてしまいました。
あらかじめルートについては入念に確認しておくとよいでしょう。
⑧家に帰るまでが登山だと覚悟する
富士山の山頂にある鳥居がゴールだと想定していると、剣ヶ峰まで気力が持たないです。
また、剣ヶ峰がゴールだと想定していると下山が辛くなります。また、下山しても本当に登山のチャレンジが終わったとは言えません。
「家に帰るまでが遠足」と一緒で、「家に帰るまでが登山」だと念頭に入れておきましょう。
まとめ
この記事では、2018年に海抜0mから富士登山を目指す「富士登山ルート3776」のルートに挑戦したことについてまとめました。
もともと体力には自信がないタイプでしたが、少しずつ訓練を重ね「富士登山ルート3776」を走破することができるようになりました。
「富士登山ルート3776」のチャレンジを達成してみて、物事を成し遂げた事により自分にとっての自信を持つことができるようになりました。
この記事が今後「富士登山ルート3776」のルートに挑戦してみたいと考えている方や、体力に自信があって何かに挑戦してみたい方に参考になれば幸いです。
*蝶ヶ岳から常念岳までの夏山の縦走についてもまとめていますので良かったら参考にしてみてください。
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